小野寺は友達と映画に行って、おれは西荻窪まで安瀬さんの舞台衣装を買いに行った。吉祥寺で降りて、家系が食いたいなと思ったけど食欲がなくて、そのまま西荻窪のワークマンまで歩いた。
衣装のエプロン(燃えづらい素材の)を買って、盛林堂という古本屋へ。小島信夫『幸福が裁かれる時』を買う。
まだ帰り道の電車でぱらっと前書きと最初の方を読んだだけだけど、とても変な本だった。
家庭裁判所の資料をもとに、沼田陽一という作家が夫婦の物語を書き、その解説を小島信夫が書くというものだった。
NO PROGRESSが始まってから、だんだん複数人で書くという方向を考えるようになった。もちろん、山本(浩貴)さんが今回参加してくれているということも大きいと思う。
クリステヴァっぽく言えば、本はどれも他の本とか言説のコラージュでできている、というのは、それはそうなのだけど、必ず引用する側の方が引用されるものよりも上に立っている、あるいは引用する側(多くは作者)に収束していく。でも小島信夫のやり方は、他のテクストあるいは生そのものをあえてナマのままごろっと出して、そこに自分をぶつけるというようなことをやってる気がする。小島信夫自身はそれを「合唱形式」とか言う、もちろんバフチンのポリフォニー論とかドストエフスキーにも影響受けてる。

夜は小野寺の友達と三人で三鷹にある餃子屋「餃子のハルピン」で食べる。おれは餃子をひとつ食べるのがやっと。小籠包食べたかったけど。
友達はそのまま家に泊まりに来て、一緒にかまいたちが流行らせたカードゲーム「ゾン噛ま」をやった。これはたのしいな。
夜中にうどんを半玉。食欲戻らず。